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「総合的健康美学論 その理論と展開 (第1巻)」 総論編

  Ⅲ 体質改善

 社会的・環境的・文化的・文明的・生物的な、さまざまな発展の陰で、健康美阻害要因として、生活習慣病をはじめとする広汎な問題が起きています。そしてこれらの諸問題の基盤的な共通項としての「肥満」について述べてきました。
 改善方針を検討する場合には、肥満のタイプによって基本的な考え方や方針が異なったものとなります。すなわち、単純性肥満の場合は、その主な原因となる、

(1) 運動不足・運動嫌い
(2) 過食(どか食い・むら食い)
(3) 夜食の習癖
(4) 食生活の洋風化
(5) ストレス

などについての、影響度に関する情報を収集することが重要です。具体的には、次の4種類の検査・分析によって行います。

(1) 生活習慣のチェックシート①運動・休養・環境的なストレス
(2) 生活習慣のチェックシート②食生活・栄養
(3) 生活習慣のチェックシート③性格・感情・思考・行動
(4) 生活習慣のチェックシート④ストレス(心理・社会・身体・生き甲斐)

 また、症候性肥満については、メディカルチェックを実施し、医師による基礎疾患の治療のもとで、指導・助言によって進めます。
 これらのチェックシートによって得られた情報をもとに、体質改善を実施するための計画が作成されます。この章では、健康美阻害要因の中心的課題として、「肥満」に対する体質改善の基本について述べます。
「肥満」に対する体質改善は、

(1) ウェイト・コントロール
(2) 経脈施術法
(3) 理学施術法

などの3つの理論と実践を、個々人特有の状況や課題に適合するように組み合わせることが重要です。
 また、体質改善は長期にわたる否定的な生活習慣の蓄積によるものです。したがって、あきらめず、粘り強く、継続することが成功の鍵となります。さらに、半年、1年と期間を限定して進めるべきことではありません。むしろ、正しい生活習慣、生きる信念として一生をかけて、楽しみながら続けていくものです。


Ⅲ-1 ウェイト・コントロール

 とくに肥満に対するウェイト・コントロールは、挫折やリバウンドを繰り返すような事態になると、精神的なストレスとなるだけでなく、体質的にも、より肥りやすい体質となり、逆効果となってしまいます。また身体的にも代謝機能・免疫機能・自立神経機能に悪影響を及ぼすこととなります。このような点に配慮して、ウェイト・コントロールのメカニズムと基本的なトレーニングメニューを理解することによって、着実なウェイト・コントロールへの動機づけができます。


Ⅲ-1-1 安全なウェイト・コントロールのメカニズム

 まず、1kg の減量に必要な運動や栄養についてのメカニズムを例に考えてみましょう。通常、脂肪は1g 当たり9kcal の熱量を持っています。私たちの体内に蓄積された脂肪は、蓄積の過程で完全な脂肪に生成されているわけではありません。水分や脂肪以外の不純物も含まれています。このように体内脂肪の純度などを考慮すると、おおむね「1g 当たり7kcal の熱量」を有すると考えられます。すなわち、運動によるエネルギー消費や食生活による摂取エネルギーの減少を、7,000kcalにすれば、1g の減量が可能ということになります。

 通常の歩行程度のウォーキング(70~80m/分)を1時間行うと、約 200 kcalの脂肪を消費します。すなわち、通常の歩行程度のウォーキングであれば35時間で1kg の減量が可能となります。1時間の通常歩行を、いままでより余分に週に5日行ったとして、約1ヵ月半(7週間)近く要することになります。

 一方、食物摂取エネルギーの摂取量の制限によって、7,000 kcal の消費の事例を考えてみましょう。1食当たりご飯を茶碗2杯、1日合計茶碗6杯食べていた人に、茶碗2杯分を減らした場合で計算してみましょう。ご飯を茶碗1杯(110g)は165 kcal ですから、2杯で330 kcal になります。7,000 kcal/330 kcal≒20ですから、約3週間で1kg の減量が可能となります。

 このように、運動面とエネルギー摂取の両面から検討すると、エネルギー摂取の制限のほうが、はるかに効果的な結果となっています。しかし、運動には、表面的な体重に現われた数字以上の、質的効果があることに注目する必要があります。それらは、運動をすることによって体脂肪は減少します。同時に筋肉は肥大して立派になります。運動をしたときの体脂肪の減少は、筋肉が肥大したことを考慮に入れると、表面に現われた体重以上に体脂肪は減少したことになります。肥満解消を目的とした体質改善は、体重を減少させることではなく、体脂肪を、バランスのとれたレベルまで減少させることです。体重はその結果として現われたものにすぎません。

 この点で、食事療法は、体脂肪と同時に筋肉も萎縮します。したがって表面に現われた体重の減少には、筋肉の萎縮分が含まれるので、実質的な体脂肪の減少は、体重の減少より少ないことになります。また、筋肉の萎縮は基礎代謝を下げるという方向に働きます。

 このように、肥満に対する体質改善としてのウェイト・コントロールは、食事療法の効果的な面だけでなく、ある程度は楽しく食べながらトレーニングを続けることが大切です。そのためには、バランスよく運動を取り入れ、筋力や体力をつけながら、基礎代謝などの質的な向上を、同時に進めることが重要です。

 運動療法を効果的に進めるためには、無理のない運動をどのように選択し、どのように進めるかが重要です。そのためには、選択した運動の消費エネルギーの評価や査定を正しくすることによって、目標や計画が設定できます。運動による消費エネルギーは、「エネルギー代謝率(RMR)×運動時間(分)=消費エネルギー(kcal)」の算式によって簡単に算定できます。エネルギー代謝率(RMR;Relative MetaⅠbolic Rate)の運動別・強度別一覧表は巻末資料をご参照ください。
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