美容業界で働く女性を対象に、接遇研修会を開催しました。講師は、これまでも接遇をテーマにした教育研修会を通して、ホスピタリティーの大切さを教えていただいている、株式会社トリニティー・インターナショナル代表取締役の篠﨑桐子先生です。

 今回は2つのキーワードから、接遇者としての心構えのお話が始まりました。

 1つ目のキーワードは、「個客サービス」です。
 最近、よく耳にする「ダイバーシティー」という言葉の意味は、性別や人種の違い、婚姻の有無はもちろんのこと、人の行動パターンや考え、思い、思考の違いを受け入れ、それをうまく活用することで、組織や社会にさらに大きな価値を創ったり、市場への影響力を強めるということです。まさに社会が多様化していることを意味します。
 そのような状況の中、サービスを提供する現場では、お客様の様々なニーズに合わせて、より細やかに対応していくことが求められます。

 そこで、1つ目のキーワードである「個客サービス」をするために必要なことは、

 お客様お一人おひとりとの
   1. 接点の質を上げること
   2. 接点の回数(長さ)を増やすこと
   3. 特別な瞬間に昇華させること
 ……です。

 そうすることで、感じがいいから入会してみよう。行く回数を増やそう。友人にも紹介しよう。長く続けてみよう。
 というように、お客様の行動にインパクトを与えます。

 2つ目のキーワードは、「マインドシェア」。
 心の占有率という意味です。
 お客様の心にどれだけ深く入り込み、心をつかんで離さない存在になるかが重要なポイントです。
 お客様にとって選択肢が溢れるこの時代。マインドシェアがダントツ1番でなければ、勝ち残れないという厳しい現状があります。

 だからこそ、さらなるお客様の期待に応えられるように、接遇者自身がもう一段上の努力をすることがとても大事ですというお話には、とても説得力がありました。

 さて、いよいよテーマである「信頼と親しみを伝える接遇」を目指すための核心に入っていきます。
 その心構えとして

   1. 心や振舞いの正しさにこだわる
     (知っているだけではなく、決まり事をきちんとできることこそが大事なことです。)

   2. 常に相手を尊重する自分でいる
     (自分の心や振舞いが、相手を敬っているかをいつも意識すること。)

 この2つのことをしっかりと受け止めておくことが重要です。

 人には、最初の印象を重ねていこうとする脳の動きがあり、初めに悪い印象を持ってしまうと、その後の行動や事柄を全てマイナスに結び付けようとしてしまうそうです。

 また、第一印象は、出会いの瞬間から5秒で決まると言われており、そして、その後の印象に大きな影響を与えます。
 だからこそ、第一印象が大事なのですね。

 お客様は、この第一印象を含めて、はじめの15秒間で、対面した人の印象を決めてしまうそうです。これを、接客での「真実の15秒間」( Moment of Truth )と呼ぶのだそうです。

 この15秒間を挽回するには大変な時間と労力を要し、またその15秒間には真実の姿があるとも言われています。まずは、接遇者である自分が、常に100点満点の15秒間を伝えることがとても大切だということですね。

 続いて、人の印象を決める5大要素とされている「挨拶」、「表情」、「態度(立居振舞い」、「身だしなみ」、「声色」について、ペアワークを交えながら、講義は進みました。

 最後に、参加者全員に先生から問いかけがありました。
 多様化するお客様の期待に応え、マインドシェア No.1 になるために、自分自身がもう一歩頑張ることは何ですか?という質問です。

 例えば、言葉遣い(敬語を磨く)や、マナーを学び知識を得るなど、それぞれが思いついたことを文字にして表現していました。

 そこで、続いて先生が、それでは、それをどのようにして手に入れますか?と質問されました。
 つまり、これは自分のコンプレックスをクリアするためのキャリアプラン(アクションプラン)作りであって、そのコンプレックスをクリアしていくことが成長につながるのですと説明してくださいました。

 こうして2時間の講義は終了しました。
 それぞれが、接遇者としての課題に気付くことのできた充実した時間でした。

2013.4.1