2016年9月1日(木)に、学士會館(東京・千代田区)にて、『健康美で輝くライフステージ』をテーマに、第13回学術教育研修会を開催しました。

 今回は「健康美で輝くライフステージ」と言うテーマを掲げ、健康・美容・教育に従事される5名の諸先生に講演いただきました。

 同日は、約180名の美容関係者が聴講し、専門知識や顧客サービスの向上、美しく輝く人生を送っていただく為のヒントが満載の講演に、真剣に耳を傾けていらっしゃいました。

 村山静江理事長からは、「国際健康美学会では、今後も様々な課題に積極的に取り組み、本大会が健康場で輝くライフステージを送れる一助となります事を期待しております」と述べられ、3時間にわたる学術教育研修会が閉会しました。第13回大会の報告を掲載しますのでご覧ください。



講演 『 高齢者と美容 』

富田 知子
  山野美容芸術短期大学 美容総合学科教授


 現在、美容総合学科美容デザイン専攻教授でいらっしゃり、著書「美容師になるための美容芸術論」を出版されている富田先生は、「高齢者と美容」をテーマに講演されました。




1.美容室を例にあげる
利用頻度を見ると、20代30代が「3回以下」にくらべ、60代は「6~11回」「12回以上」が半数をしめている。リラックス要因の第1位は「会話」、2位に「シャンプー」である事から、「髪・顔を美しく整える」の他「会話を行う機会の獲得」「引きこもり防止」等も期待出来るのではと考える。
 
2.研究による高齢者のメイク効果
ポジティブ情動が上昇し、ネガティブ情動は減少する。また、メイクは生活に大切な、一歩前に一歩外へといったポジティブ心情を奮起する事がわかった。メイクの程度と行動指標が示された。家族や支援者が施すメイクの程度がわかった。その指標に基づいてメイクする事で、相互のよき理解となり高齢者の社会参加を促すことにつながると考えると締めくくりました。



講演 『 全身をトータルでみるということ 』

近藤 雅子
  プライベートエステサロン Plume ~プリュム~ 代表


 正看護師として700人以上の女性の体と心に触れてこられた近藤雅子は先生からは「全身をトータルでみるということ」というテーマで講演していただきました。





 大切な事は「見る・看る・診る」を使ってお客様に接することである。

  見る・・・様子を見る、相手を見る、数値を見るなど
  看る・・・子どもの面倒を看る、患者を看るなど
  診る・・・施術者は診察というより「原因や成行きを考える」と言う事が大切

 女性がおかれた立場や成行きなどを、コミュニケーションをとりながら寄り添い、一緒に考える事、また、著しい時代の変化の中で今起こっている女性の問題について、女性の特性に応じた体と心をトータルでみる事が大切であると締めくくられました。



講演 『 子どもの肥満と大人の肥満 』

加賀谷 友里
  共立女子学園 共立大日坂幼稚園教諭


 現在も現役の幼稚園教諭でいらっしゃり、認定心理士や食育インストラクター他、多数の資格をお持ちでいらっしゃる加賀谷先生からは、「子どもの肥満と大人の肥満」というテーマで講演されました。痩せている子どものお弁当、太っている子どものお弁当や家族の体型を比較し、映像で分かりやすく解説していただきました。



1.子どもの肥満の現状
学童期に肥満が増える事、子どもの肥満はそのまま大人の肥満につながる可能性が高く、大人になってから生活習慣病につながりやすい。
 
2.大人の肥満の現状
年代別にみると、男性では40歳代が34.9%と最も多く、女性は年齢が上がるにつれ70歳代で27.1%と最も多い。

 子どもの食育への取り組みは大変重要であり、子どもが健康になると大人になっても健康を意識し、大人も健康に気を使うようになる事、また大人自身が大人の健康を意識するようになる事を学び、とても感銘を受けました。



講演 『 大学生の学業ストレストが皮膚類型に及ぼす影響 』

郭 眞瓊
  仁川才能大学校ビューティーケア科教授
  理学博士


 皮膚管理が専門の郭 眞瓊先生からは「大学生の学業ストレスが皮膚類型に及ぼす影響」について発表していただきました。





 研究による結論
 1.試験ストレスと授業スレトス及び成績ストレスは、肌のタイプと有意な相関関係がある。
 2.総合学業ストレスでは、肌のタイプと有意であるという結果が見られた。
 3.総合学業ストレスでは、①混合肌②普通肌③脂性肌④乾燥肌の順に、学業ストレスに差が見られた。

 ストレスによる健康への影響、また、学業が及ぼす肌のタイプ別によるストレスの影響を、統計図をもとに説明していただきました。学業ストレスを減らす事が肌(皮膚)の健康状態によい影響を与えると締めくくられ、あらためてストレスが皮膚な大きな影響を与える事を認識いたしました。



講演 『 健康・美容とセルフメディケーション 』

村山 舞
  昭和大学医学部薬理学兼任講師
  医学博士
  株式会社村山代表取締役


 健康やせを冠する教室型エステを展開し、ダイエティシャン及びセラピストの接遇やカウンセリングに「コーチング」の導入の必要性を提言されており、医学博士であり、株式会社村山 代表取締役 村山舞先生からは「健康・美容とセルフメディケーション」について講演いただきました。


1.現在、日本における医療費割合、入院患者、通院患者が占める症状別割合などを円グラフで分かりやすく説明していただき、いかにセルフメディケーションにより自己管理能力が求められているか、とても勉強になりました。
 
2.教室で行っている健康痩身「基本となる健康やせコース」について
・使用した施術機械
・健康補助食品
・食事指導や入力法などのライフスタイルのアドバイス

これらを実勢する事により、健康痩身に成功された顧客の実例を紹介されました。

 本来の「美容」は、容姿の造作ではなく体内の健康があってこそ意味があり、それは薬に頼らず肥満を改善するという広義でのセルフメディケーションによって、初めて維持されるというお話しで締めくくられました。
 高齢化社会に直面する、日本の今後の在り方を示唆する重要な考え方である事を実感しました。



2016.9.1